次に、
地方創生総合戦略の取り組みについてお尋ねします。総合戦略では、「県内雇用の約八割を担い、本県経済の発展と活力の原動力である中小企業に対する総合的な支援をはじめ、将来の発展を支える
先端成長産業の育成、農林水産業の収益力強化など、各地域が持つ特性や資源を活かした産業振興に取り組むことで「魅力ある雇用の場」をつくる」ことを掲げ、数値目標を
雇用者創出数(純増)で五年間累計一万人、若い世代を中心に、正規雇用の確保に努めるとしています。また、第三次産業のシェアは伸び続けており、二〇一四年のGDPでは、製造業が一九%に対し、七三%が第三次産業で占められています。従業者数においても同様な傾向を示しており、本県の状況も同様です。また、
女性労働者の比率は、製造業に比べ
サービス産業は圧倒的に高くなっています。よって、総合戦略の主要課題である雇用の創出、女性の活躍推進や中小企業の体質強化などを図る上で、
サービス産業に対する強化策が不可欠です。国も、二〇一三年度から
ものづくり補助金を商業、サービスまで対象を広げるなどしております。
知事にお尋ねします。総合戦略での雇用創出を実現するためにも、
サービス産業の強化が必要不可欠です。
サービス産業分野での企業育成のために、どのような取り組みを考えておられるのか、知事にお尋ねします。
次に、
中小企業支援、
商店街活性化についてお尋ねします。
初めに、
中小企業支援についてお尋ねします。二〇一五年度二月補正予算において、多様な中小、
小規模企業をきめ細かに支援する目的のため、
地域中小企業支援協議会の
重点支援企業が策定した事業計画の実行に対する助成が予算措置されました。また二〇一六年度当初予算では、市町村の
認定特定創業支援を受けた創業者に対する融資枠とともに、
地域中小企業支援協議会の
重点支援企業に対する融資枠も創設されました。これらの事業は、同協議会が実質的に機能する上でも大切な事業であると考えます。この二つの事業の
取り組み状況について知事にお尋ねします。
次に、
小規模企業支援についてお尋ねします。二〇一六年度
版小規模企業白書によれば、自社の決算、棚卸しの頻度や経営計画の作成の有無には、企業業績と高い相関性がうかがえます。また、経営上の悩みや問題の解決に際し、利用したことのある支援機関を尋ねたところ、商工会と
商工会議所が九〇%、国のよろず支援拠点や自治体の支援機関などは、それぞれ八・一%、五・七%となっており、商工会、
商工会議所が群を抜いています。商工会、
商工会議所への相談解決の難易度の傾向と、そのときに
外部支援機関等から協力を得た頻度が六〇%以上の項目を見ると、新しい商品・サービスの開発、販路開拓、事業継承、既存の商品・サービスの磨き上げが重なります。つまり、商工会、
商工会議所に寄せられた相談のうち、解決が難しい案件は国や自治体の支援機関につながっている傾向がうかがえます。
そこで知事に三点お伺いします。一点目、白書を取り上げるまでもなく、事業者が自社の経営実態を正確に把握することが経営の第一歩です。そのためには
経営指導員が、日々の業務でできる限り多くの事業者と面談するとともに、みずからのスキルを向上させることが
小規模事業者の底上げにつながります。
経営指導員の人員確保と能力向上について知事にお尋ねします。
二点目、
小規模事業者にとって、商工会、
商工会議所が相談しやすい窓口となっており、そこから
各種専門機関へつながっている様子がうかがえます。とりわけ、最近は人材確保や育成、商品開発などが解決困難な案件として増加しており、よろず支援拠点などの
外部支援機関等に協力を得ながら支援を行っているようです。しかし、国や自治体の支援機関の利用は、商工会、
商工会議所の一割にも満たない現状を見ると、そこまでたどり着けていない相談者も多いのではないかとも危惧します。
公的支援機関を利用した相談者の満足度が高いだけに、非常にもったいない話です。事業者へ
公的支援機関の周知を図るとともに、商工会、
商工会議所とより密接な連携を図る必要があると考えますが、いかがでしょうか。
三点目、最低賃金の引き上げ額は、時給で示されるようになった平成十四年度以降、最大の引き上げ幅となりました。福岡県でも、十月一日より二十二円上がって七百六十五円となります。最低賃金の引き上げは、
県民所得向上に大きなプラスとなります。一方、特に
小規模企業の経営者には、
経営圧迫要因にもなりかねません。経営改善が進んでいない企業の
経営体質強化について一層の取り組みが必要と考えますが、知事の見解を求めます。
次に、
商店街活性化についてお尋ねします。
商店街活性化に向けては、中心市街地の活性化やまちづくりなどと関連させながら懸命に取り組んでまいりましたが、多くの地域で試行錯誤が続いています。本県においても施策を実施しており、平成二十一年度からは、行きたくなる
商店街づくり事業を地元市町村、商工会、
商工会議所等と連携しながら取り組んでいるところです。この事業は、改善を図りながらではあるものの、当初の取り組みから既に七年を経過しています。二十七年度には、専門家を招いて商店主、商工会、
商工会議所、
市町村職員参加の意見交流会の開催を新しい事業項目として実施しました。平成二十七年度
行政評価レポートを参考に事業の内容を概観すると、誘致店舗数が目標の一つとして掲げられています。
目標達成状況の欄には、「出店募集に対し四件の応募があったが、審査結果や応募辞退などから出店に至らず、目標達成に至っていない」とあります。この書きぶりは、二十五年度も二十六年度もほぼ一緒です。事業の有効性の項目には、「空き店舗率の改善……など、一定の効果が出ている。また、魅力ある
店舗づくりのための
起業家支援、宅配事業の実施など、商店街の活性化に向けて、各々の地域的な特性や創意工夫を凝らした取組みが行われている。」とあります。見直しの内容という項目には、一部改善の上継続とあり、その理由は、「高齢者等の身近な買い物の場として、また、
地域コミュニティの担い手としての商店街の機能・役割を強化することによって、商店街の活性化を図る必要があり、引き続き県の支援が必要である。」とあります。この項目も二十五年度、二十六年度、全く一緒でした。
そこで知事に二点質問します。この事業の目標設定について、二十七年度からやっと事業主体が設定した成果目標を問う指標が出ました。経費節減のためには、LED化も役に立つでしょう。しかし、この事業の主目的ではないはずです。
行政評価レポートの事業の有効性では、創意工夫が見られる取り組みもなされております。そのような成果を第三者がわかるように見える化し、次の事業につなげるべきと思いますが、いかがでしょうか。
次に、商店街は高齢者等の大切な買い物の場です。商店街を構成していない地域の個店も同様に、高齢者にとって大切な
地域インフラであり、
地域コミュニティーにとって大事な存在です。なおかつ、商店街の活性化に取り組むわけですから、事業の必要性や手法、波及効果も含めて、説得力ある見直しを行う時期に来ているのではないでしょうか。県として
商店街活性化にどう取り組んでいくのか、知事の見解を求めます。
次に、市町村の
各種計画策定支援についてお尋ねします。県として、今年度中に
公共施設等総合管理計画を策定することとなっています。市町村においても
公共施設等総合管理計画を策定し、県が支援していくことになっています。
まず、市町村への支援について質問するに当たり、本県の
計画策定状況について知事に三点質問します。
一点目、本県の
公共施設等総合管理計画策定進捗状況と計画期間をお尋ねします。
二点目に、計画策定も大切ですが、計画の遂行がより重要です。経済、社会状況の大きな変化で、計画の見直しもあり得ます。また常に新しい知見を踏まえた迅速な対応も必要です。そのためには、毎年の進捗状況や評価結果の内容などを議会や県民にわかりやすく開示することが重要です。開示の時期や方法も計画に明記すべきと考えますが、知事の見解をお尋ねします。
三点目、新地方公会計を推進するに当たっては、
固定資産台帳の整備が必要不可欠です。本県でも整備に向けて作業が進んでいるものと思いますが、
公共施設等総合管理計画をより精緻に、より実効性あらしめるためにも、資産の基本情報である
固定資産台帳は重要です。
管理計画遂行に当たっては、
固定資産台帳の活用が必要と考えますが、知事の見解を求めます。
次に、市町村に対する支援について知事に三点質問します。まず、
県内市町村の
公共施設等総合管理計画策定の進捗状況をお尋ねします。今後、市町村は
公共施設等の最適な配置等を実現するために、計画に基づき近隣市町村の公共施設の共同利用や修繕、更新、統廃合等を行っていくこととなります。市町村が計画を着実に実現するためには県の積極的な支援が不可欠と考えますが、いかがでしょうか。
二点目、
公共施設等総合管理計画に限らず、市町村が作成するさまざまな計画の中には、県の施策と密接にかかわるものなど県の関与が必要なものがあると思われます。市町村の主体性を尊重しながらも、よりよい計画となるよう県は強く働きかけるべきと考えますが、知事の見解をお尋ねします。
三点目、近年、国からは
公共施設等総合管理計画、
地方版総合戦略、
女性活躍推進計画など、多くの計画の策定が要請されています。市町村の中にはノウハウが不足し、少ない人員で大変苦労しているところもあると聞いています。県の積極的な支援が必要と考えます。知事の見解をお尋ねします。
次に、
海外旅行者等に対するテロや感染症などの情報提供についてお尋ねします。世界各地でテロや事件が頻発しています。本年七月、バングラデシュでの
レストラン襲撃テロ事件では、日本人七人のとうとい命が奪われました。今後、旅行者や在外邦人の安全確保は重要な課題です。こうした中、海外の治安情報などを電子メールで旅行者に知らせ、安否確認にも利用される外務省のシステム、たびレジがあります。具体的には、
海外旅行者が日程や滞在先を登録すると、現地の
最新安全情報や在外公館が発信する緊急一斉通報が受け取れるシステムです。滞在先で緊急事態が発生した際には、事前に登録した電話番号や宿泊先をもとに緊急連絡も行われます。メールアドレスは三つまで登録でき、家族や勤務先も滞在者と同じ情報が確認できます。外務省も、万が一の際には登録情報が安全確保の手がかりとなる、登山届のイメージで積極的に利用してほしいと呼びかけています。
地方自治体でも独自に
海外渡航者の安全確保に動き出しました。富山県では、海外の安全情報を紹介する
ウエブサイト、とやま
海外安全情報ナビを開設しました。在外公館のホームページを張り、外務省の情報を中心に、県国際課の担当者がサイトの更新をしています。
知事にお伺いします。福岡県と関係のある旅行者や在外邦人が正確な情報をいち早く収集し、安全確保を図る必要があると考えます。本県でも、外務省のたびレジの普及啓発を効果的な方法で行うべきと考えますが、いかがでしょうか。
次に、二〇一六年四月十四日から二十二日の間、いずれかの九州地方に滞在した
訪日外国人を対象とした、
株式会社サーベイリサーチセンターが実施した、熊本地震における
訪日外国人旅行者の避難行動に関する調査によれば、回答した
訪日外国人の八割は個人旅行、困ったのは日程の大幅な狂い、変更と、どう行動してよいかわからなかったこと、役立ったのは、周囲にいる日本人からの情報と母国の
ウエブサイト、災害時にあったらよいものは、自国語、わかる言語での避難誘導と情報となっていました。
本県も
海外旅行客は増加しており、観光産業のウエートは増すばかりです。観光は危機や災害による影響を受けやすく、観光の社会、経済に与える影響も大きくなっております。リスクの多い今日、安全で安心できる観光先であることは、観光客誘致の必要条件であり、差別化要素でもあります。
知事にお尋ねします。本県も早急に、
外国人観光客を主要な対象とした
観光危機管理体制を強化すべきと考えますが、知事の見解を伺います。
本県における県内就職、移住の推進についてお尋ねします。総務省の総合窓口、移住・
交流情報ガーデンがJR東京駅近くに、昨年の三月から設置され、来場者数が当初見込みの三倍強となる盛況を見せています。ここでは、常駐の相談員が移住や就農支援などに関する相談に応じるとともに、
インターネットのサイトである
全国移住ナビを自由に閲覧できるコーナーも設けられ、各地方における生活や仕事に関する情報を入手できます。さらに、この施設において
地方自治体の主催による
移住相談会や
セミナー等が年間二百回以上開催されています。また、同じく国の施策で、東京等の大都市圏に進学した地方出身の大学生や卒業生に対し、地方での就業体験を促す
地方創生インターンシップ事業があります。この事業では、自治体や大学側に対し、学生が地方企業の魅力に触れられるような取り組みを、国の制度として支援しています。具体的には、産学官の連携により、地域で
インターンシップを推進する運営組織の整備、二つ目に、就業体験の単位認定を検討するなど、学生が参加しやすい環境づくり、三点目に、
セミナー等を通じた
受け入れ企業へのアドバイスなどを進めています。
一方、本県では、移住、定住を考える方のために、移住相談の
専門窓口ふくおかよか
とこ移住相談センターを、本年七月二十二日に、東京の有楽町と福岡市天神にオープンしました。
知事に四点質問します。まず、本県のふくおかよか
とこ移住相談センターの利用状況と、利用者をふやすための施策についてお尋ねします。
二点目に、総務省の移住・
交流情報ガーデンでは、
地方自治体主催による
移住相談等が開かれていますが、本県の自治体によるイベントの開催状況と本県での
インターネットサイト全国移住ナビの活用状況をお伺いします。
三点目に、移住をより効果的に進めていくためには、本県のふくおかよか
とこ移住相談センターと共通する部分が多い移住・
交流情報ガーデンや
全国移住ナビとの積極的な活用、連携が必要と考えます。今後、どのように活用、連携を図っていくのか、知事の見解を求めます。
四点目、国の
地方創生インターンシップにより、地方企業の就業体験の機会をふやす施策は、学生ら若者の就職の選択肢を広げ、県内就職、移住の推進に有効であると考えますが、本県における施策の活用状況と同取り組みに対する知事の御所見をお伺いします。
次に、
給付型奨学金等を活用した県内就職、移住の推進についてお尋ねします。現在、文部科学省は、返還する必要がない
給付型奨学金制度の創設に向けた検討チームを設置し、具体的な制度設計の議論を進めているところです。既に多くの自治体が、地元の企業等からの寄附を活用するなどして独自の
給付型奨学金を創設しています。また、自治体による奨学金の返還を助成する制度が、山口県等を初め各地で創設され始めています。全国的に若者を中心に人口減少にある状況で、地方が優秀な若い人材を確保することは重要な課題です。ぜひとも本県においても独自の
給付型奨学金や
奨学金返還支援制度の創設について検討すべきであると考えますが、知事の御所見を求めます。
この項の最後に、県内企業における若手社員の活用による県内就職、移住の推進についてお尋ねします。若い優秀な人材を集めるためには、同世代の若者からの呼びかけが効果的であると考えます。実際に、長野県や鳥取県では、地元企業の若手社員を活用して、大学生や短大生等に地元で働く魅力の発信に努めています。また鳥取県では、地元愛があり、県の魅力やPR活動に熱意のある学生を、とっとり
応援メッセンジャーに任命し、知事との意見交換の場を持つなどのユニークな企画もあります。
本県においても、地元の魅力を情熱的に発信できる地元企業の若手社員の起用は、県内の就職、移住の推進に有効であると考えますが、こうした取り組みに対する知事の見解をお尋ねします。
次に、
聴覚障害者への情報保障についてお尋ねします。
聴覚障害者の情報保障については、手話通訳と並んで要約筆記が重要な役割を担っています。特に、会議や各種イベントなどでスクリーンを使って発言者の話す内容を要約して文字であらわす要約筆記は、通常四人一組でパソコンを使用して実施します。よって、一つの行事に対し最低四人が必要です。しかしながら、私の地元である北九州市においては、一組を組成するのが精いっぱいの状況で、時には他市から来てもらって実施しているのが現状です。北九州市では、要員の確保が切実な課題になっています。人材養成が需要に追いついていないのが現状です。この状況は、北九州市だけに限らないと思います。現在の状況が続けば、
聴覚障害者にとって重要な情報保障の手段である要約筆記の設置を制限するほかありません。
そこで知事に三点質問します。県主催の行事では、原則要約筆記が設置されることとなっていますが、最近の実施状況並びに県内の要約筆記の活用状況をお尋ねします。
二番目に、本県の要約筆記者は何人おられるのか。そのうち月一回程度以上出動している実動人員はどれほどおられるのか。都市部に偏ってはいないのか。最近の推移はどうなっているのか。現状で十分対応できていると考えられているのか。人材養成の状況、また県としての養成計画はどうなっているのかお尋ねします。
最後に、今後、障害者差別解消法の施行を踏まえ、
聴覚障害者への情報保障へ向けた活動はますます重要になってくるものと考えます。
聴覚障害者の情報保障に向けた本県の取り組みについて知事の見解を伺います。
次に、障害者差別解消法の運用についてお尋ねします。障害者の社会参加などを推進するための権利条約が、二〇〇六年に国連で採択され、日本でも障害者の自立支援法、総合支援法、虐待防止法などの法整備を踏まえ、本年四月一日より障害者差別解消法が施行されました。同法では、行政、民間事業者が、障害者に対して正当な理由なく、障害を理由として差別する不当な差別的取り扱いの禁止と、障害者が社会生活の中で感じる不都合の解消を求めたとき、過度の負担にならない範囲で対応する合理的配慮の提供について明記されております。この法律の合理的配慮の提供によって、支援を求める人も、手助けする人も、お互いに声を上げやすくなりました。一方、このような合理的配慮を行わないことは、障害者差別解消法で禁じられている差別と理解されます。
まず、知事に二点お尋ねします。国や自治体は差別解消法の目的規定である合理的配慮を義務化されています。具体的な事例を盛り込んだ国の職員向け対応要領を受けて、本県としてどのように制定し、運用しているのか、また全庁の職員に対する周知徹底方法、これまでの経過及び具体的な対応等についてお示しください。
また、民間事業者についての取り組み及び課題についても説明を求めます。
次に、本県は、八月一日に障害者差別解消支援地域協議会を立ち上げました。同協議会の構成委員の内容や人員についてお尋ねします。また発足時の協議会での検討内容及び課題についてお聞きします。
さて、改正障害者雇用促進法が施行されたことで、雇用の分野においても差別的取り扱いを禁止しています。厚生労働省の調査では、二〇一五年六月現在、民間企業で働く障害者の方は四十五万三千百三十三人と過去最多となり、年々増加しています。例えば、山口県山陽小野田市にある機械部品メーカーTHK山口工場では、十年前の障害者雇用率は一・〇五%でしたが、本年六月一日現在では、障害のある社員が二十一人、雇用率は三・一四と、国が企業に求める法定雇用率二%を超えています。また鳥取県では、差別解消法と改正雇用促進法を踏まえ、一九九四年度に設けた身体障害者の正職員の採用枠に精神障害者採用を加え、また知的障害者を対象とした正職員についても、本年七月から募集を開始しています。精神障害者を正職員として募集するのは、都道府県でも初の試みであり、同県の人事企画課は、県が率先して推進することで、障害者の雇用の機会を広げる機運につながり、その機運が県内の市町村や民間にも広がるならば、県は努力を惜しまないと力強く述べています。鳥取県の取り組みは、障害のある人を特別扱いではなく、不自由な部分をサポートすることで働ける場所が広がる、そういった発想です。
そこで知事に二点お尋ねします。本県は、四月に施行された障害者差別解消法及び改正障害者雇用促進法の趣旨を踏まえ、今後精神障害者を初めとした県職員の障害者雇用についてどのように取り組まれるのか、知事のお考えをお聞かせください。
また、二〇一八年度からは法定雇用率の算定基礎に精神障害者の雇用も加わりますが、県内事業所における障害者雇用の状況と課題、それを踏まえた対応について知事の御所見を伺います。
次に、介護ロボットについてお尋ねします。北九州市の国家戦略特区の取り組みの中に、介護ロボット等を活用した先進的介護の実証実装事業があります。介護現場では、介護職員の不足や過酷な労働環境による高い離職率といった深刻な課題を抱えています。そこで北九州市は特区制度を活用し、ロボット技術等を導入することによって、単に現場の効率を図るだけでなく、介護の質の維持向上、介護職員の心身の負担軽減や生産性向上、さらには専門性や働きがいを高める先進的介護の実現を目指しています。同時に、介護現場のニーズと開発側のシーズをマッチングさせることで、介護ロボット等の開発、改良につなげていくこととしています。この事業は、本年七月より、北九州市門司区にある二つの高齢者施設で実証が始まり、実質的にスタートしました。実証の内容は、介護現場での作業分析やユニット型特別養護老人ホームの共同生活室での介護ロボット等の導入、それらの分析、評価を通して、現場に合った介護ロボットの開発、改良に結びつけ、介護現場での実証を積み重ねながら、平成三十二年度までに全国の標準となる運営基準の策定を行う計画です。既存の介護ロボットの多くは、現場では使い勝手がいいとは言えないものでした。今回は、検証されてこなかった課題を解決する上で不可欠の事業です。介護ロボットが施設に本格的に稼働するようになれば、職場環境は大きく変わり、労働環境の改善や高齢者等の新たな雇用機会の拡大、ロボット産業など物づくり産業の振興に直結します。介護分野だけではなく、リハビリなどの医療分野、警備、受け付け業務など、応用範囲は限りなく広いものと考えます。
知事に二点質問します。一点目に、北九州市の介護ロボットを活用したこの事業は、介護の現場を大きく変え、介護ロボット開発など産業振興にも多大なインパクトを与える事業と考えますが、介護ロボットの将来性について知事の見解を伺います。
二点目に、既存の製造業との連携や新商品、新製品開発、介護分野以外での応用なども期待できます。福岡県としてもこの事業にしっかり関与して、福岡県全体としてもこの事業が成功するよう支援する必要があると考えますが、いかがでしょうか。
最後に、教育問題について質問します。
まず、本県の特別支援教育について伺います。平成二十四年十二月、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関して、文科省は調査結果を発表しました。知的発達におくれはないものの、学習面や行動面で著しい困難さを示すとされた児童生徒は六・五%、このうち通級による指導を受けている児童生徒は、自校在籍通級、他校通級合わせて三・九%でした。この調査結果を踏まえ、本県の通級指導教室のあり方を改めて考え直すべきだと考えます。
発達障害のある児童生徒は年々増加傾向にあり、通級指導教室の設置申請数も年々増加していますが、現状では、一人一人の能力や適性に応じた個別の指導を行うには十分とは言えない状況です。本県の現状は、小中学校の通常の学級に在籍している発達障害のある児童生徒の一部は通級指導を受けるため、在籍学級における授業を一時抜けて、他校に設置された通級指導学級で指導を受けていますが、保護者による送迎の負担や、移動に時間がかかり、前後の授業に支障を来していることなどが問題視されています。
そこで提案ですが、政令市を含む全ての小中学校に特別な指導を行う学習室を開設し、教員が巡回して指導する体制に切りかえれば、児童生徒が移動することなく、在籍学級で落ちついて教育を受けられると同時に、今まで以上にきめ細かな支援ができると思います。新たに開始される予定の高校での通級による指導についても同様の取り組みが必要です。教育長の見解を求めます。
次に、チーム学校の本県の取り組みについて伺います。OECDの調査によると、中学校の教員の加盟国の一週間平均勤務時間は三十八時間、日本は五十四時間と、平均の約一・四倍、加盟国中最長、なおかつ授業や生徒指導にかけた時間は四割にも満たない二十時間であり、事務作業と部活動に多くの時間が割かれているのが現状です。教員が子供と向き合い、子供の成長をしっかり支えていくためにも、多忙化の解消に向けた対応策が必要です。
そこで教育長にお伺いします。教員の長時間勤務の実態、並びにその要因、そして超過勤務の縮減に向けた取り組みについてお答えください。
いじめや不登校、子育て世帯の生活困窮など、学校における生徒指導上の課題が深刻化、複雑化していることを踏まえ、文部科学省は教員の負担軽減のため、心のケアの専門家スクールカウンセラーや、福祉の専門家スクールソーシャルワーカー、部活動外部指導員などの専門スタッフを学校に配置し、教員と連携して課題に学校全体で対応するチームとしての学校づくりを推進しています。本県においても、近年の学校を取り巻く諸課題に対応するためには、スクールカウンセラーのような専門性を持つスタッフを積極的に活用し、学校の組織力を高めていく必要があると思います。
そこでお伺いします。本県のスクールカウンセラー等の設置状況はどうなっているのか、またチーム学校の推進について、今後どのように取り組んでいくのか、教育長の見解をお聞かせください。
以上です。ありがとうございました。(拍手)
3 ◯議長(中尾 正幸君) 小川知事。
*知事答弁
4 ◯知事(小川 洋君)登壇 お答えを申し上げます。
まず初めに、病院、高齢者・
障害者施設における防災計画、防災訓練でございます。まず、病院につきましては、毎年の立入検査におきまして、患者の避難、誘導等に関する防災計画の内容を確認し、防災訓練の実施状況も把握しており、県内全ての病院において作成、実施をされているところであります。次に、高齢者・
障害者施設につきましては、定期的に行います実地指導等におきまして、入所者の避難、誘導に関する防災計画の内容を確認し、防災訓練の実施状況を把握しており、県内全ての特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、障害者支援施設、障害児入所施設等におきまして作成し、実施されているところであります。また、県所管の住宅型有料老人ホームにつきましては、今年度から三年間で全ての施設に立入検査を行い、防災計画の作成、防災訓練の実施状況を確認し、未作成あるいは未実施の施設に対しましては指導を行ってまいります。災害時における患者、入所者の安全の確保のために、今後とも立入検査、実地指導等の機会を捉えまして、防災訓練の実施、それを踏まえた計画の見直しが適切に行われますよう指導を徹底してまいります。
次に、県内の活断層の調査でございます。県内の主要な活断層につきましては、国の地震調査研究推進本部におきまして、将来発生し得る地震の発生確率、それから規模等を推定する長期評価というものが行われております。この評価を踏まえまして、県では地震、津波分野の研究者で構成しております専門家会議を設置いたしまして、最新の知見も加え、平成二十四年三月、地震に関する防災アセスメント調査報告書をまとめたわけであります。この報告書では、県内の主要断層ごとに地震動や液状化等の予測のほか、人的、建物、ライフライン等の被害想定の調査、検討を行い、その結果につきましては、県の地域防災計画に反映をしているところであります。
次に、
福祉避難所での情報保障でございます。高齢者や障害者の中には、災害発生時におきまして十分な情報が得られず、不安を抱く方もおられるわけであります。このため、県では平成二十五年九月に作成をいたしました
福祉避難所設置・運営マニュアルにおきまして、市町村が電光掲示板や点字プリンターなどの資器材、また手話通訳者などの人材を確保するよう求めてきておりまして、その実施を市町村に働きかけております。また災害の規模等によりましては、単独の市町村では専門の人材の確保が困難な場合も考えられますため、福岡県手話の会連合会など福祉専門人材にかかわる九団体と、災害時の人材派遣に関する協定の締結に向け協議を行っているところでございます。
次に、避難所の運営に関する訓練でございます。県では、これまで自主防災組織のリーダーや市町村職員を対象といたしました研修会等で、
避難所運営の訓練の一つでございます、議員のおっしゃいましたHUGの演習を行うとともに、資器材の貸し出しを行い、十五の市町村におきましてHUGが実施されているところであります。県といたしましては、県民が災害時に避難所の運営を円滑に行えるよう、これまでの自主防災組織のリーダーや市町村職員を対象とした研修に加えまして、地域住民を対象にHUGや避難所居住スペースの区割りなどの
避難所運営の訓練を行うモデル事業に取り組んでまいります。
次に、避難所における障害者の情報保障でございます。熊本地震の際の避難所におきましては、給水場所や時間などの情報が音声または文字だけで提供されるなど、聴覚や視覚に障害のある方々が情報不足になり、不自由な思いをされたと聞いております。このため県といたしましては、被災地支援に当たった県内の障害者団体を通じまして、どのような御不自由があったのか詳細に把握をいたしまして、熊本地震検討プロジェクトチームにおいて検討し、その結果を踏まえ、市町村を支援してまいります。
県内の災害時における
緊急物資輸送センターの活用についてお尋ねがございました。今回の熊本地震を踏まえ、県では、本県が被災した場合に円滑な支援を受けられるよう、受援計画を策定することといたしております。この計画におきましては、支援の要請や連絡の手順、支援物資の内容やその受け入れ場所、搬送方法などを具体的に定めることといたしておりまして、
緊急物資輸送センターの支援物資の輸送拠点や保管場所としての機能を活用できるよう県
トラック協会と協議を進めているところでございます。
緊急物資輸送センターを避難施設として活用した防災訓練についてでございます。
緊急物資輸送センターは、災害時の
緊急輸送拠点はもとより、住民の避難施設としても活用できますことから、地元の自治体が指定避難所として訓練を実施することは防災上効果的であると、このように考えております。現在県内三カ所に設置をされております
緊急物資輸送センターは、いずれもそれぞれの地域の指定避難所に指定をされておりまして、このうち筑後、筑豊両センターにつきましては、これらの避難所を活用した訓練が実施されているところでございます。ことし五月に設置をされました北九州のセンターにつきましては、北九州市に対しまして、その訓練の実施を働きかけてまいります。
災害時における民間との連携でございます。県が災害対策を進めていく上で、民間の団体や事業者のノウハウを活用していくことは非常に重要でございます。このため県におきましては、県の
トラック協会との緊急物資輸送に関する協定を初め、コンビニエンスストア等との食料供給協定、建設業者との緊急対策工事に関する協定など、さまざまな業界や職種の団体、事業者の間で千百八十七件の災害時応援協定というものを締結しております。これらの協定の実効性を高めていくため、現在熊本地震検討プロジェクトチームにおきまして、それぞれの協定の内容の点検を行っているところでございます。
次に、
サービス産業の企業育成でございます。本県の
サービス産業、いわゆる第三次産業は、県内の総生産、県内事業所数とも約八割を占めております。その大部分が中小企業でございます。県では、これらの中小企業の振興を図るため、創業、経営基盤の強化、新たな事業展開といったそれぞれの企業の成長段階、またその事業環境に応じまして、経営改善、金融、経営革新、販路開拓、海外展開など、きめ細かな支援を行っているところでございます。また、昨年度設置をいたしました
地域中小企業支援協議会、これにおきましては、域外の販路拡大を図る合同物産展、商談会の開催、地域できめ細かな支援を行うための経営革新計画策定指導員の配置などを行っております。さらに、
重点支援企業に対しましては、低利融資による資金調達の支援、補助金による販路拡大や新商品、新サービスの開発の支援、これらにも取り組んでいるところであります。今後とも中小企業一社一社につきまして、きめ細かく総合的に支援することによって、
サービス産業を初めとする本県中小企業の成長発展を図ってまいります。
次に、
重点支援企業等に対する新たな支援措置についてでございます。まず、
重点支援企業に対する新たな助成につきましては、新商品、新サービスの開発、販路開拓などの取り組みを行う企業に対し、今月中にその交付の決定を行う予定でございます。また制度融資におきましては、
重点支援企業向けの資金及び創業塾等を受講した創業者向けの資金というものを新たに設けておりまして、
重点支援企業や創業者が必要なときにこれらの資金を活用できるよう、
商工会議所、商工会の
経営指導員や市町村を通じまして、制度の内容等情報の提供に努めているところであります。
次に、
経営指導員の人員確保とその能力向上でございます。
小規模企業の持続的発展を図っていくためには、
経営指導員による十分な支援が受けられる体制を維持していくことが必要でございます。そのため、県では
経営指導員の人件費を支援をさせていただき、必要な人員の確保に努めているところでございます。
小規模企業数が同程度の道県と比べ、充実した数の
経営指導員を当県は配置をいたしております。また、
経営指導員の能力向上につきましては、これまで
商工会議所連合会や中小企業大学校等により経営状況の分析、事業計画の策定、農商工連携や販路開拓の支援などのための研修を行ってきたところでございます。さらに、昨年設立をいたしました
中小企業支援協議会におきましては、
経営指導員と中小企業診断士、金融機関などが連携をいたしまして、企業の経営課題、解決策の検討に当たっておりまして、そうした共同作業は
経営指導員の方のさらなる能力の向上につながっていると考えております。
公的支援機関の活用についてでございます。
小規模事業者が抱えるさまざまな経営課題の解決を図っていくためには、企業にとって最も身近な存在でございます
商工会議所、商工会の
経営指導員による日常的な支援に加えまして、知的所有権など専門性の高い課題につきましては、
公的支援機関の活用を図っていくことが重要であります。このため、県ではこうした
公的支援機関の支援策について取りまとめた福岡県中小企業施策活用ガイドブックを毎年度作成をいたしまして、
商工会議所、商工会等に配付するとともに、中小企業振興センターのホームページに掲載をし、県内の事業者の方々に広くその周知を図っているところであります。また、県内四地域に設置をいたしました
地域中小企業支援協議会におきましては、
商工会議所、商工会の
経営指導員単独では対応が困難な課題につきまして、その協議会に属しております
公的支援機関と連携をいたしまして、例えば農商工連携に関する課題につきましては、中小企業振興センターと一緒にその支援を行っているところでございます。さらに、協議会では、協議会に属さない
公的支援機関とも連携を図っているところでございまして、例えば特定の業種につきましては、その業種にかかわる経営の経験を有しておられる専門家を擁しておられますよろず支援拠点、それにつないで支援を行っているところであります。今後とも、これらの取り組みを通じまして、
公的支援機関について、その周知と連携を図ってまいります。
次に、
小規模企業に対する
経営体質強化についてでございます。
小規模企業は、最低賃金引き上げなどの経営環境の変化による影響を受けやすいために、その変化に適切に対応できるよう早急に経営体質を強化していく必要がございます。このため、県におきましては、経営体質の強化が必要な個々の事業者の方に対しまして、金融機関と信用保証協会で構成をしております中小企業経営改善・金融サポート会議を通じまして、経営と金融両面からの支援を行っております。具体的には、中小企業診断士、税理士などの専門家を派遣いたしまして、経営改善計画の策定とその着実な実行というものを支援しているところでございます。
次に、行きたくなる商店街づくりの事業の目標と成果の公表についてお尋ねがございました。この事業は、消費者が行きたくなるような魅力ある商店街づくりを目的とした商店街の自主的な取り組みについて、ハード、ソフトの両面から支援をするものでございます。事業の実施に当たって、各商店街それぞれ独自の目標を定めておりまして、例えばイベントの開催に合わせて個店の魅力をPRするためのマップを作成する事業におきましては、一店舗当たりの平均来店者数を、また商店街に魅力ある店舗を誘致、集積させる事業におきましては、その誘致店舗数を目標にするなど、それぞれの取り組み内容に応じた目標を定めております。県といたしましては、こうしたみずから設定した目標を達成した商店街の割合が一〇〇%になることを本事業の成果指標としているところでございますけれども、一方で、各商店街の成果の上がった取り組みというのは、他の商店街にそれを広げていくことも重要でありますので、本事業の成果を公表する場合には、こうした各商店街それぞれの目標と成果につきましても、見える化のために、あわせ公表をしてまいります。
商店街活性化の取り組みについてでございます。商店街の活性化を図っていくためには、商店街の利用をふやし、商店街での消費を促していくことが必要でございます。このため県では、平成二十一年度から、発行した地域で必ず使用され地域の消費を喚起することになります地域商品券の発行というものを積極的に支援してまいりました。また平成二十三年度からは、商店街に来ていただくことが困難な方々のための出張商店街や、商店街への送迎用バスの運行など買い物の支援を行う十三の商店街を助成したところでございます。このうち九商店街が、助成の終了後の現在においてもその取り組みを継続しておられ、地域から高い評価を受けているところでございます。さらに、平成二十五年度からは、まちづくりによって生まれる新たな交流人口、居住人口を商店街に呼び込んでいくため、久留米、飯塚の両市におきまして、それぞれの中心市街地活性化基本計画に基づき、魅力ある店舗を誘致、集積させ、商店街の集客力の向上を図る地域のまちづくり会社などの取り組みについて、重点的に支援をしているところでございます。県といたしましては、地域の実情に合わせ、地域と一体となったこうした取り組みを促し、商店街の活性化を図ってまいります。
次に、
公共施設等総合管理計画についてお尋ねがございました。現在、策定に向けた作業を行っておりまして、パブリックコメントを実施し、今年度中に議会に御提案をしたいと、このように考えております。その計画期間につきましては、将来の人口、財政の見通しをもとにした長期的な視点が必要である一方で、社会情勢の変化を考慮した実効性のある計画としていくため、十年を予定しているところでございます。また、その進捗状況等の議会への報告や公表につきましても、その時期や方法を計画に記載することといたしております。
固定資産台帳の
公共施設等総合管理計画への活用についてでございます。
公共施設等総合管理計画は、公共施設の計画的な更新や長寿命化によりまして、財政負担の軽減、平準化に取り組むことを目的といたしております。整備中の
固定資産台帳が来年度完成をいたしますれば、将来の財政負担のシミュレーションというのが容易になります。このため、今後の
公共施設等総合管理計画の見直しに当たりましては、この
固定資産台帳を活用してまいりたいと、このように考えております。
次に、市町村の
公共施設等総合管理計画についてでございます。
公共施設等にかかわる総合管理計画につきましては、既に県内十三の市町が策定を終えておりまして、本年度中には全ての市町村において策定が終了する予定でございます。県では、今後この計画に沿って
公共施設等の集約化、複合化等が円滑に進んでいくよう、本年度、市町村向けの新たな低利融資制度を県独自で創設をしたところでございます。国におきましても、交付税措置がなされる有利な起債制度というのが用意されております。県といたしましては、こうした制度を周知するほか、それぞれの市町村の状況に応じまして、国、県、最も有利となる制度の利用というものを個別に助言をしてまいります。
次に、県の施策にかかわる市町村計画についてでございます。県と市町村が目指すべき方向性について認識を共有し、連携、協力して取り組んでいくべきものにつきましては、県から市町村に対し必要な働きかけを行うことが重要であると考えております。こうした観点から、昨年度策定をいたしました
地方創生総合戦略におきましては、県内十五の広域振興圏ごとに人口動態、産業構造、地域資源などの現状分析を踏まえた上で、施策の目指すべき方向性を示すなど、そういった取り組みを行ったところでございます。県といたしましては、今後とも必要に応じ、市町村の主体性を尊重しつつ、市町村に対し、こうした積極的な働きかけを行っていく考えであります。
市町村計画の策定の支援についてでございます。法令等により、市町村に義務づけられた計画というのは、本来当該市町村がそれぞれの実情に応じて自主的に、また主体的に策定すべきものでございます。一方で、計画によりましては、策定に必要となる専門的知識を有する人材、ノウハウに不足を来す市町村も考えられるところであります。このため、県ではこれまでもこうした市町村に対し、計画策定のための相談に応ずるほか、必要な技術的助言を行ってきたところであります。昨年度策定いたしました地方総合戦略におきましても、地方創生ふるさと貢献隊なるものを創設いたしまして、市町村からの求めに応じ専門的知識を有する県職員を派遣してまいりました。県といたしましては、御指摘の点も踏まえ、今後ともそれぞれの市町村の状況に応じ必要な支援を行ってまいります。
外務省のたびレジの普及啓発についてお尋ねがございました。外務省のこのたびレジは、世界各地でテロ等の事件が頻発していく中、いち早く危険を連絡することで、旅行者の身の安全を図る有効な手段の一つでございまして、県民の皆様に対し、広く周知を図っていく必要があると考えております。県では、これまでも県内パスポートセンターにおきまして、旅券の交付をお受けになる方全員に、そのチラシを渡し、登録を勧めてきております。また、ことし一月には、
県内市町村に対し制度の内容、利用方法等について通知をいたしまして、住民の方々への広報を依頼するとともに、四月には新聞広告を行い、県民の皆様に広く登録を呼びかけているところでございます。今後、海外旅行を取り扱う県内の旅行業者に対しましても、改めて制度の趣旨、内容を伝え、旅行者にたびレジへの登録を促すよう要請をしてまいります。
次に、
外国人観光客を対象とした災害時の危機管理についてでございます。県の地域防災計画には、
外国人観光客を含む旅行者への災害時支援についても明記をいたしております。これを受けまして県では、県内の旅館、ホテルや観光施設が、突然の災害発生時にも慌てることなく
外国人観光客に対応できるよう、災害対応マニュアルを平成二十七年三月に策定し、これを周知をしたところであります。このマニュアルにおきましては、災害時、速やかに避難誘導できるよう、英語、中国語、韓国語による告知の文例、絵文字でわかりやすく案内のできるピクトグラムの使用の例なども紹介をさせていただいております。また、今年度からは観光事業者を対象としたインバウンド受け入れセミナーの中でも、この災害時の対応方法について周知をし、取り組みを促しているところでございます。
ことしの四月の熊本地震発生時には、県の観光ホームページクロスロードふくおか、またソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を通じまして、英語、中国語、韓国語の三カ国語で、高速道路、公共交通機関などのインフラの状況について情報を発信いたしました。また、民間のFM局の協力も得て、英語による外国人向けの情報発信もしていただいたところであります。今後は、熊本地震発生時の状況を踏まえ、より一層効果的な情報の提供、さらなる多言語化について検討を進め、災害時における
外国人観光客支援策の充実に向け、市町村、関係団体と連携して取り組んでまいります。
ふくおかよか
とこ移住相談センターの利用状況と利用者増のための工夫についてでございます。七月二十二日の開所から約一カ月半たっておりますが、それまでの移住相談者は二百五十名に上っております。今年度の年間目標を上回るペースで相談者が来場されているところでございます。その相談内容でございますけれども、居住環境に関することが最も多く五四%、就職に関するものが三五%となっております。年代別では、三十代が三五%と最も多く、次いで四十代が二四%、二十代が一七%となっております。県におきましては、首都圏のハローワークを通じ、転職希望者に対し、このセンターの取り組みの周知を図っているところであります。これに加えまして、就職、就農、住宅、子育てなど分野別、対象別のセミナーの実施、各県の同様の相談センターと一緒になって合同の相談会を開催するなど、移住希望者の多様なニーズに応えていくことといたしております。こうした取り組みを通じまして、センターの利用者をさらに増加をさせてまいります。
次に、総務省の移住・
交流情報ガーデンと
全国移住ナビと、私どものふくおかよか
とこ移住相談センターとの連携についてお尋ねがございました。総務省の移住・
交流情報ガーデンにおきましては、昨年度、本県への移住促進のためのセミナー、相談会を、県と北九州市、合わせて三回開催をいたしましたほか、本県ふくおかよか
とこ移住相談センターのPRのチラシ、パンフレットを配置するなどの連携を図っているところでございます。また、
全国移住ナビにおきましては、本県の就職情報、公共交通機関、学校、医療機関といった生活関連の情報などが閲覧できるよう情報提供を行っているところであります。県といたしましては、ふくおかよか
とこ移住相談センターが実施をします相談会の場として、国の移住・
交流情報ガーデンを積極的に活用するほか、本年度県が作成する移住促進のためのプロモーション動画を国の
全国移住ナビで配信するなど、さらなる連携強化を図ってまいります。また、
県内市町村に対しましても、これらの活用促進というものを働きかけてまいります。
次に、地方企業での
インターンシップについてでございます。県では、東京圏の大学生に地方での就職や暮らしに目を向けてもらうために、今年度から九州・山口各県共同で、企業での
インターンシップの受け入れ事業を実施しているところでございます。この事業では、学生が参加しやすいよう、東京圏からの旅費の一部を助成するなど工夫を行いまして、九州・山口全体で四十五社で七十二名、本県の企業には十一社で十五人が、今参加をしているところであります。参加者からは、福岡県で働きながら生活することについて具体的なイメージを持つことができた、そういった感想をいただいております。
給付型奨学金等を活用した県内就職、移住の推進についてでございます。民間の調査によりますと、本県出身者は、他県に比べて地元就職希望の割合が高いという特徴がありますことから、県内外の学生に地元企業の魅力や働きがいといった情報を発信していくことが、若年人材の県内の就職、移住の推進に極めて有効であると考えております。議員御指摘の地元企業等からの寄附を活用した独自の
給付型奨学金や
奨学金返還支援制度の創設につきましては、学生や企業のニーズの見きわめ、どのような産業分野にかかわる学生を支援の対象とするか、またその費用対効果、費用負担を求める産業界の理解など克服すべき課題がありますことから、慎重に検討をしているところでございます。
県内企業若手社員の活用による県内就職、移住の推進についてお尋ねがございました。県におきましては、県内の大学生等に対し、県内企業の経営者等による講話や職場見学を行っております。これに加えまして、今年度からは若手社員との座談会を新たに開始したところでございます。また、県外の大学等に対しましては、本県の就職支援情報の提供、大学が実施する就職相談会への我々のアドバイザーの派遣を行い、県との連携を強化することといたしており、これらの取り組みを進める中で、より一層の若手社員の活用について、県内企業にその協力を呼びかけてまいります。
県主催の行事における要約筆記の実施状況でございます。県では、
聴覚障害者に対する情報、コミュニケーションの確保の観点から、高齢者や障害者など
聴覚障害者の参加する可能性の高いイベントや事前申し込みで
聴覚障害者の方の参加を把握している場合には、要約筆記を実施しているところであります。その実績は、一昨年度は二十件、要約筆記者七十七人、昨年度は十六件、同じく五十八人となっております。県内の要約筆記の活用状況についてでございますが、福岡県手話の会連合会、福岡県
聴覚障害者協会が把握しておられる要約筆記者の派遣者数は、一昨年度は延べ一千百五十八件、昨年度は延べ一千六百三十四件となってございます。
要約筆記者の現状についてでございますが、現在、県内で要約筆記者として活動されている方、百二十一名でございます。そのうち月一回程度以上活動されている方は七十一名でございます。要約筆記者の登録地別に見ますと、北九州市二十二名、福岡市五十名、久留米市十三名、その他の市町村三十六名となっております。最近の推移につきましては、二十五年の要約筆記者八十五名から、現在までに三十六名増加をしております。
人材の育成でございます。要約筆記者養成研修の修了者数でございますが、政令市が実施しております研修の修了者数を含め、平成二十四年度は四十五名、二十五年度三十八名、二十六年度は二十六名、二十七年度二十九名とそれぞれなっておりまして、今後さらに人材の養成が必要であると考えております。県におきましては、平成二十四年度から二十六年度までの三カ年で四十三名の要約筆記者を養成したところでございますが、第三期福岡県障害者福祉計画において、二十七年度から二十九年度までの三カ年で新たに六十六名の要約筆記者を養成することといたしております。
次に、
聴覚障害者に対する情報保障についてでございます。県では、十一カ所の県民相談窓口で手話対応ができるよう、今年度から三年間で六十六名の職員を手話奉仕者として養成することといたしております。また、知事定例会見の
インターネット配信、広報テレビ番組に字幕を付与しているほか、県の全ての庁舎及び事務所の入り口に筆談での対応が可能であることを示す耳マーク、これを表示するとともに、各事務所に筆談用具を常備をいたしております。さらに、現在出先の分庁舎を含め窓口十七カ所に補聴、対話支援機器を設置をいたしておりまして、このような取り組みを通じまして、
聴覚障害者の方が必要な情報を得られるようにしてまいります。
障害を理由とする差別の解消の推進に関する職員の対応要領についてでございます。本県の対応要領は、障害者団体へのヒアリング、パブリックコメントを経て、県障害者施策審議会に諮問いたしまして、その答申を踏まえ、ことしの一月制定したものでございます。その後、四月の法律の施行前に、全職員を対象に研修を実施し、その徹底を図ったところでございます。また、その運用に当たりましては、全所属に合理的な配慮について具体的な事例を示し、チェックシートによる自己点検に基づき必要な対応を求めているところでございまして、今後とも障害のある人に安心して来庁していただけるよう、こうした取り組みを継続してまいります。
次に、民間事業者への取り組みでございます。県では、民間事業者の方々に合理的な配慮の事例等を盛り込んだ啓発リーフレットを作成し、商工会等の各業界団体を通じまして、会員の事業者の方々への配付を進めているところであります。また、これらの団体の協力を得まして、会員事業者の皆さんに対する啓発の研修というものも実施しているところでございます。今後は、民間事業者の方々に障害者の社会参加の促進に向けた具体的な取り組みを進めていただくことが必要でございます。このため、県では関連する幅広い分野の機関、事業者の参加を得まして、障害者差別解消支援地域協議会というものを設立いたしまして、障害者の自立と社会参加を進めようとしているところでございます。
県の障害者差別解消支援地域協議会についてでございますが、この協議会は、障害者団体や行政機関だけではなく、福祉、医療、公共交通機関など、障害のある方々の日常生活や社会生活にかかわりのある幅広い分野からの委員三十六名で構成をいたしております。八月一日に開催をいたしました、その第一回協議会におきましては、法の概要、趣旨、それから協議会の設立趣旨について説明を行うとともに、具体的な差別事案や合理的な配慮の事例というものを紹介し、意見交換を行いました。今後、この協議会でそれぞれの現場における事例を集積し、情報共有を図るとともに、それらの情報を整理し、効果的に活用することとしたところでございます。また、市町村協議会を設置しております市町村は、現在十二にとどまっておりますことから、今後その設置を促し、県協議会との連携を図ることによって、県全域で広域的に障害者差別を解消するための取り組みを進めていく必要があると考えております。
次に、本県職員における障害者の雇用でございます。本県におきましては、昭和五十七年度から一般の競争試験とは別に、身体障害者の方を対象とした採用試験を毎年実施してまいりました。知事部局における障害者の雇用率は、昨年六月一日現在で全国第二位の三・四二%となっており、地方公共団体の法定雇用率二・三%を上回っております。知的障害者の雇用について、従事することが想定される定型的単純業務につきましては、本県ではアウトソーシングを現在進めているところでございまして、限定的なものとなっております。このような課題がありますけれども、知的障害者の方が従事する業務や勤務労働条件について、ほかの例も参考にしながら検討をしてまいります。精神障害者の雇用についてでございます。本県職員の中には、採用後に精神障害者手帳の交付を受けられた方がおられ、このような職員に対しましては、過大なストレスがかかるような対人業務には従事させない等の配慮を行っているところでございます。今後の障害者採用試験の実施に当たりましては、改正障害者雇用促進法のその趣旨を踏まえ、対象者に精神障害者を加えることについて検討してまいります。
次に、県内事業所における障害者雇用の状況と課題についてでございます。本県の民間企業における障害者雇用者数は、昨年六月一日現在で一万四千二百九十四名、障害者雇用率は一・八八%と、いずれも過去最高を更新をいたしております。一方で、県内の企業の約半数が法定雇用率二%を達成をしておりませんで、障害者雇用に対する企業の理解というものが大きな課題であるというふうに認識をいたしております。このため、県では法定雇用率未達成の企業を対象にいたしまして、優良な取り組み事例など紹介を行います雇用促進セミナーというものを県内四地区で開催をするとともに、有識者の講演や優良事業所等の表彰を行います障害者雇用促進大会、これを毎年開催をし、障害者雇用への理解の促進や意欲の向上に努めているところでございます。また、障害者就業・生活支援センターにおきまして、相談件数が急増しております精神障害者の就労の支援も重要な課題であると考えております。精神障害者は、体調や症状に波があることなど、きめ細かな対応を必要とされますことから、センターに平成二十四年度心理専門職を、昨年度には精神保健福祉士をそれぞれ配置をしたところでございまして、カウンセリング、就職に向けた生活指導を行ってもらうなど、その支援体制を拡充しているところでございます。
次に、介護ロボットの開発、普及についてでございます。高齢化の進展によりまして必要とされる介護職員の数は今後大きく増大をし、厚生労働省の推計によりますと、二〇二五年には三十八万人が不足するとされております。また、介護職員を対象とした調査によりますと、その七割の方が腰痛を抱えておられるなど、職員の負担の軽減というのも課題になってございます。このような状況のもと、介護現場におけるロボットのニーズというのは高まってきておりまして、その市場規模は、経済産業省の調査によりますと、二〇三五年には四千億円を超えると、このように予測されております。県におきましては、産学官で組織をいたしております福岡県ロボット・システム産業振興会議を核といたしまして、特区の指定を受けた北九州市とも連携をし、医療、福祉分野などをターゲットとしたロボットの開発を推進をしています。これまでに、シートで体を包み込むように抱き上げ、ベッドから車椅子へ安全に移乗させるロボット、下半身に麻痺がある高齢者のつえとなって歩行のリハビリを支援するロボットなどの開発を支援してきたところでございます。県内には、御承知のとおり、高度な物づくりの基盤技術を有する企業が多数集積をいたしております。これらの基盤技術を活用し、介護ロボットの開発、普及を進めていくということは、本県の産業振興にも大きく寄与するものでございまして、今後とも積極的に取り組んでまいります。
次に、北九州市の国家戦略特区における介護ロボットの開発、普及事業についてでございます。この事業は、介護の現場にロボットを導入いたしまして、その効果をはかるとともに、入居者や介護者の視点に基づいた新たなロボットの開発、普及につなげていこうとするものでございまして、大変有意義な取り組みであると考えております。県といたしましては、この事業を成功させ、介護ロボットの開発、普及が進んでいきますよう、北九州市との連携を一層密にし、参画する企業に対し、開発や実証にかかわる費用の助成、開発したロボットの販路の拡大などの支援を行ってまいります。
5 ◯議長(中尾 正幸君) 城戸教育長。
*教育長答弁